ということで行ってきました。007 スペクター先行上映の初日11/27。
金曜夜の新宿ということもあって劇場は満員。IMAXという環境の良さもあって興奮冷めやらぬままに速攻レビュー。(ややネタバレ気味なので未鑑賞のかたはご注意)
スカイフォールから続く物語...?
今作「007 スペクター」は主演のダニエル・クレイグはもちろん主要キャストのM、Q、マニーペニーと前作「スカイフォール」の話の流れを引き継いで、、、と思いきや、実は話の流れを継ぐのは前作だけでなく、「カジノ・ロワイヤル」と「慰めの報酬」の流れを汲んだ過去3作の総ざらい的なお話。前作「スカイフォール」は予習必至なのはもちろん、クレイグ版ボンド作品は一度振り返ってから、この「スペクター」を見ることをお勧めします。
極端に派手な見せ場の数々
クレイグ版ボンドになってからいわゆるハリウッド大作的な派手な見せ場は少し控えめになり、その一方で徹底的なリアル志向を貫いてきたが、今作は一転して派手な見せ場が目白押し。メキシコの広場上空でのヘリのシーン、オーストリア雪山でのセスナでのカーチェイスシーン、そしてアフリカとロンドンでの大規模な爆発シーン。これまで通りの近接戦闘も魅せつつこういった派手なシーンにかなりの尺を使っていることは明らかに変わってきた点と言えます。
さらに前作に続いてロンドンがかなりフューチャーされたことは意外な要素でした。冷戦後の世界でも各国の敵と戦ってきた007が、いよいよ内なる敵との戦いシフトしてきた現れとも見て取れる。
二人のボンドガール
レア・セドゥはトレンチコートがお似合い。確かミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコルでもトレンチコートを着ていたような記憶が。今作では秘密を抱えた謎めいたキャラクターでありながらも、どうしても優しい眼が見え隠れしてしまい個人的にはアンマッチに感じました。どちらかと言えばゴースト・プロトコルの役のように悪女のほうが魅力的に見えるかな。一方のモニカ・ベルッチは映画で見るのはマトリックス・リローデッド以来で作品の中の位置づけとしてはお膳立て的なポジションでした。これを二人のボンドガールと位置づけるのはどうだろう。
クレイグ版ボンドって結局どうだったのか?
ボンドといえば、ファッション・車・美女。ブロスナン版ボンドが3要素を「身に付ける」だとしたらクレイグボンドはうまく「備える」人物像だったのかなぁ。自分から好んで選ぶというよりはそれが勝手についてくるというような印象。自分はブロスナン版ボンドで育ったせいか、当初はクレイグ ボンドに違和感を感じていたけれど、いまは過去のボンドが薄く見えてしまうほど、シリアスでリアルなクレイグ版ボンド作品が好みになった。
今作でダニエル・クレイグは降板という話を聞くがそれに見合ったラストになっていると思う。ラストシーンはこれ意外は無いといえるストレートさ。ベタではあるけれど、万人が納得のシーンでしょう。
007シリーズとして見ると前作スカイフォールで芸術的な頂点、スペクターで作品的な終点だったのかな。各作品によってもちろん好みは別れると思うけれど4作を通してきれいにまとまったと思う。
前作は作品としての完成度、今作はクレイグ版ボンドとしての集約度を目指した作品。
仮に、もし、もう一作作るならどうか蛇足にならぬように願うばかり。
※写真は全て公式サイト007.comより